ハーリーハーリー

今回は、空き家を放置しておくことのリスクをお伝えするよ。
空き家を売るときに気になる「リフォームしたほうがいいのか?」、「更地にしたほうがいいのか?」という疑問にもお答えしよう。

誰も住まないまま長く放置している空き家の処分に頭を痛めてはいませんか?

早く処分したい、高く売りたいなあ、でも売り方がわからない……

なんて。

空き家は賃貸に出せば賃料で収益が得られます。
でも、誰も住んでいない空き家には維持費や管理の手間がかかるだけ。
だから、そのまま誰にも貸さず、自分や身内も住む予定がないなら早めに売却したほうが得に決まっています。

といっても、空き家を売るのは簡単な話ではありません。
特に長く住んでいない戸建の場合だと、売るときに以下のような疑問が浮かぶでしょう。
あなたは、正しく答えられますか?

  • 再建築不可とは?
  • 建ぺい率・容積率とは?
  • 家の中をリフォームしてから売却したほうがいいの?
  • 家を解体し更地化してから売ったほうがいいの?

今回の記事では、こうした疑問へ詳しくお答えしていきます。

実は、僕も去年、長く放置していた家を売りました。
正確には、家を解体して土地を売却したのです。
僕が売ったのは、先祖代々と相続してきた土地。
地方の不便な場所に家付きで残されていたんですね。
田舎にあった土地なので買い手がつきそうになかったのですが、更地にしたその土地は最終的に2,300万円の現金に変わりました。

空き家を持ち続けることには、リスクしかありません。
ぜひ最後まで読んで、家付きの土地を早く高くうるためのコツを身につけましょう。

空き家を持ち続けるとこんなに損をする!

戸建て住宅は、「空き家」となることで様々な「損する」問題を引き起こします。
その被害が自分だけに及ぶのなら自己責任で済みますが、空き家の被害は周囲の住民にまで影響を与えてしまう恐れがあるんです。
空き家が原因で、近所へ迷惑をかけると賠償責任に発展することもありえます。
そうなるまえに、しっかり具体的な空き家対策の方法を考えておくことが必要です。

空き家が長く続く場合のリスクは主に以下の4つに分けられます。

  • 防犯のリスク
  • 出費が増えるリスク
  • 近所付き合いへのリスク
  • 収入が減るリスク

ひとつずつ説明していきましょう。

防犯のリスク

空き家は空き巣や不法侵入のターゲットになりやすいことはご存知でしょう。

人が住んでいない家は、不思議と前を通りかがっただけでわかります。
プロの空き巣や泥棒は、普段から街を歩き忍び込みやすい家を物色してます。
人の気配が漂っていない空き家は空き巣や泥棒の格好の餌食です。

仮に、家の中に盗まれて困るものは何もないとしましょう。
しかし、近所の人にとっては、犯罪のターゲットになりやすい場所がすぐそばにあること自体が迷惑なのです。

もしも放火なんてされたらどうします?
誰も住んでない家ですから、火がつけられたことに気がつきません。
またたく間に近隣に家事が広がっていくことになります。

こうした犯罪を未然に防ぐことを防犯といいます。
防犯の方法としては、監視カメラを設置したり、定期的に見回りにいったりがあげられます。

僕の場合、売った土地が住んでる場所から遠く離れていました。
特急を2つ乗り継ぎ半日かけたところにある土地を、そんなに頻繁に見に行けるわけはないですよね。
監視カメラも、取り付けるにはお金がかかります。
結果、放ったらかしの日々が続いたのですが、今考えると何か大変な被害に遭っていたかもしれません。

幸いにも、泥棒や放火のような大きな犯罪に遭うことはなかったです。
でも、不法投棄や違法駐車の場所として使われることはやっぱり何度かありました。
不法投棄や違法駐車は、一度されると継続して狙われる傾向があります。
近所の人から苦情の連絡が入るたび、電話口で頭を下げてました。

近隣に迷惑をかけ、自分的にも面倒ばかり起こすなんの特にもならない土地ですから、安くてもいい、早く売りたいと思ったものです。

出費のリスク

空き家は金食い虫です。
住んでなくても、固定資産税や都市計画税などの税金を支払う義務はなくなりません。
それどころか、「空き家対策特別措置法」によって、税額が6倍になることもあるんですよ。

ハーリーハーリー

空き家対策特別措置法は、自治体が「特定の状態にある」と判断した空き家に対して、特別な税額をかけられることを決めた法律だよ。

あなたの空き家は以下の条件に当てはまってはいませんか?
国土交通省のガイドラインに示されている条件です。

  • そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

こうした条件に当てはまっていたら、要注意。
最大で普通の6倍の固定資産税を払っている可能性があります。
早く売ってしまったほうがいいですよね。

近所付き合いへのリスク

僕は田舎の近所付き合いが苦手なんです。
住んでないにもかかわらず、煩わしい近所付き合いに終わりはありません。
放置した空き家は近所づきあいに悪い影響を与える危険性をたくさん持ってます。

空き家に忍び込むのは不審者だけじゃないんですね。
空き家は害虫や害獣が集まりやすく、悪臭や不快感の原因となってしまいます。
害虫や害獣などは一度住み着くと繁殖速度がすさまじく簡単には駆除できません。
一軒の空き家がネズミやシロアリに侵されたことがきっかけで、その隣の家に、そしてまたその隣の家へと被害が広まることもありえます。
もし、あなたの家が原因で隣の家にシロアリが広まったりしたら、どうやって責任を取りますか?

放置された庭も近隣トラブルの原因になります。
手入れをしなければ、あっというまに庭木が隣の塀を超えていきます。
雑草の繁茂は虫を呼びます。
伸びた枝も草木も隣が勝手に切ってくれればいいのですが、法律の定めによって、そんなことは許されません。
遠くにあっても、足を運び草刈りや庭木の手入れをしなければいけないわけです。

家は、誰も住まないと、急速に劣化していくものです。
近隣エリアの中でぽつんと一つだけ、古びた家があるのは、近所の人にとって気分的に嫌というだけでなく、実際に生活に支障を与える心配があるのですね。

収入のリスク

出ていくお金への心配は、出費のリスクのところで説明しました。
今度は、入ってくるお金、収入が減ることのリスクについてお伝えします。

建物は築年数とともに徐々に価値が下がっていくものです。
特に、空き家の場合は、劣化が激しいので急激に価値が落ちていきます。
さらにいえば、戸建て住宅はマンションの鉄筋コンクリート造とは違って「木造構造」。
そのため、建物価値の下落がいっそう激しいことを覚悟しておきましょう。

つまり、売却を検討している間に、建物価値がゼロと判断されることもあり得るのです。
最悪な場合は、土地のみの価格で売り出すことにもなりかねません。
そうなる前、早めに売却活動を始めたほうが良さそうですね。

家付きの土地を売る前の注意点

家付きの土地を売却するにあたっては、いくつか確認すべき注意点があります。
特に、放置している期間が長いほど慎重に確認しておかなければいけないことがあります。
それが以下の3つです。

  • 再建築不可
  • 建ぺい率・容積率
  • 境界線

再建築不可

建ててから年数が経過しすぎている戸建ては、現在の建築基準法に満たしていない「再建築不可」の物件に該当する場合があります。
再建築不可の物件は、文字どおり現在の建物を壊した上での建て直しができません。

再建築不可の物件は買い手がつきにくいので、売り出しに特別な工夫がいります。
売却を担当する不動産会社と、どんな宣伝をしていくのか、どこで買い手を探すのかというような売却活動についてしっかり打ち合わせておく必要があります。

建ぺい率・容積率

築年数が長い戸建てを売りたいときは、「建ぺい率」「容積率」についても確認しておきましょう。

建ぺい率は、土地の面積に占める建物の割合を表してます。
簡単に言えば「建ぺい率70%・敷地面積100坪の場合、70坪分は建物の割合に使える」ということです。

容積率は、土地の広さに対する延べ床面積の割合を表しています。

この建ぺい率と容積率に関しても、建物が建てられた当時の割合と現在の割合は異なるため、売却前に必ず確認が必要です。

境界線

戸建て住宅で最も多いトラブルは「境界線」に関するものです。

境界線は、隣の敷地や道路との境目を表す線のことです。
境界線を示す境界杭が正しく境界上に設置されているかどうか、売却を始める前に必ず確認しておきましょう。

敷地内を通過して隣地に引き込まれている水道管があるかどうかも確認しておくとよいです。
水道管のような土地の埋没物は、その配管を管轄する水道局や市町村へ問い合わせすると簡単に現在の状況を教えてくれます。

境界線について、もっと知りたいあなたは以下の記事がおすすめです。
境界線を決める方法や、測量の業者の選び方をお伝えしています。

土地を売却するために測量は必要なのか?費用や依頼先も教えて

リフォームしたほうがいいのか?

リフォームしてしまうと、どうしてもリフォーム代を回収したくなります。
リフォーム代の分だけ高く売りだすことになるでしょう。
築年数が長く空き家が続いた物件を高値で売り出すと、買い手が付く可能性が低くなってしまいます。
売るためにリフォームしたのに。
逆に売れない事態を招くわけです。

戸建てを買う人のなかには、リフォームする前提で安く中古住宅を購入しようとしている人がいます。
こうしたリフォーム前提で物件を探している人をターゲットにすれば、劣化の激しい空き家でも、売れる可能性が高まります。

ただ、特に木造構造の戸建ては、高温や湿気が原因でカビや虫が繁殖しやすいんですよね。あまりに長く放置している物件は、見るにも耐えない瀕死の状態になってしまっているかもしれません。
このような物件の場合は、そこで生活をしていく様子がイメージできないため、リフォームを前提としている人たちもさすがに購入を見送ってしまいます。

といっても、劣化が激しい場合のフルリフォームとなると莫大なコストがかかります。
当然、リフォームにかける時間の分だけ売却が完了するまでの期間も伸びてしまいます。
建設時期が1981年以前の建築物では旧耐震基準に該当するため、追加で耐震補強リフォームも考えなければいけません。

そこで、できるのが「部分的に資産価値をアップさせる」ことを目的にしたリフォームです。
例えば、部屋の壁紙、網戸、障子などを新しく取替えます。
また、キッチンやトイレなど水回りの設備を最新のものへ変えるのですね。
それだけで、イメージできる住み心地がグンと良くなることがあるんですね。

ただ、どんな場合でも素人判断でリフォームするかどうかを決めるのは危険です。
必ず信頼の置ける不動産会社へ相談してから決めましょう。

不動産会社は、必ずあなたの物件と似たような過去の売却実績を持っています。
あなたの物件に最適なリフォームがどのようなもので、リフォームをすることでどれくらいの値段で売れるのかをアドバイスしてくれるでしょう。

リフォームすべきかどうかについては、更に詳しい記事が下にあります。
戸建てではなくマンションのリフォームですが、共通して当てはまることもあります。
リフォームで悩む人は読んでみてください。

少しでも高く売りたい!中古マンションの売却にリフォームは必要?

更地にしたほうがいいのか?

古い戸建てを土地付きで売却するための方法としては、リフォーム以外に「更地化」が考えられます。

正直、「売れやすさ」という点については、中古住宅よりも更地のほうが上です。
というのも、家付きだと用途が限定されてしまいますよね。
土地だけなら、買った人が自由に使えます。

また、建物の築年数が20年以上の場合だと建物自体の価値はほとんどゼロです。
土地のみの価格しか売却価格に反映されないことが多いので、それならもう土地だけにして売ったほうがいいというわけです。

更地で売ると、土地自体の価格に「更地状態」という価値が上乗せされる場合があります。
結果、売却価格が上がります。
更地にすることで、売れやすくなり、売却価格もアップする。
こうした二つのメリットがあるのですね。

ただ、更地化にもデメリットがあります。
「解体費用」がかかることです。
木造であっても、解体費用の目安はだいたい4万円/坪くらいです。
解体費用はだいたいが売主の負担になります。
あまり高く売れそうにない土地の場合は、解体費用が回収しきれないリスクがあります。

また、解体すると税金面でも損することがあります。
家付きの土地よりも、土地だけの方が固定資産税が高くなるんですね。
もし売れない期間が長くなると、高くなってしまった固定資産税を負担し続けなければいけません。

だから、更地化を検討している場合も必ず不動産会社の意見を聞きましょう。
売れるまでにどれくらいの時間がかかるか、どれくらいの値段で売れそうか。
期間と価格に基づき、更地にするかどうかを決めるのです。

ちなみに僕は更地にして売りました。
330坪の土地の上に立つ家は、売り出す時にはもうボロボロになってました。
広すぎる家は家族構成が小さくなってきている今の時代、あまり需要がありません。
しかも家の中は劣化しすぎて、住むにはフルでリフォームが必要な状態になってました。
これでは売れないだろうと不動産会社と意見が一致し、家の解体を決めました。

更地にするか悩む人は以下の記事も参考になります。

土地は解体して更地にした方が早く高く売れるの?

家付きの土地を早く売るための工夫

最後に僕の経験から、家付きの土地を早く売るためのコツをまとめます。

まだ住める状態であれば、フルリフォームではなく部分的に手直してしてから売るのが、いいと思います。
中古住宅を購入する買主は、後からリフォームを行う予定にしていることが多いですが、それでも、最初の内見であまりに劣化している様子を見せられたら購入意欲は湧きにくいはず。
そういった意味では、壁紙や床の張替えだけでも小さくリフォームをしておいたほうがいいでしょう。

もし、もう住むのは不可能。
立て直しかフルでリノベーションしなければいけないほど家が極端に劣化している場合は、更地にしたほうがよさそうです。

いずれにしても、売りたい家とよく似た条件の物件をたくさん手がけた経験のある不動産会社へ相談してから決めるべきです。
不動産会社によって、得意としている物件が異なります。
家付きの土地を売却する方法としては、「そのまま売る」「リフォームして売る」「更地にして売る」という方法が挙げられます。
所有している不動産が、どの売却パターンに最適なのか、実績の豊富な不動産会社へ相談して納得のできる形で売り出しましょう。

以下では、不動産売却に慣れた人なら必ず知る、賢い不動産の売却方法をまとめています。
信頼できる不動産会社を見つける方法でもあるので、特に今回がはじめて不動産を売却するという人はぜひ読んでみてください。

少しでも高く売却するための不動産会社の選び方