相続や離婚が原因で土地を売却するとき、共有名義はよく火種になる。

ひとつの土地に対して複数人の所有者が存在するから、売却がスムーズに進まない。

共有名義の土地は、権利所有者の全員から同意を得ないと売却できないからだ。

ハーリーハーリー

相続した土地をさっさと現金化したいのに、「たった一人の共有名義人に反対されているせいで」と頭を抱えている人もいるんじゃないかな。

確かに、名義人によって経済状況が違う。その土地への愛着も異なる。そんな人達でひとつの土地を共有するわけだから、全員が売却に前向きとは限らない。

売りたくないとゴネる人を説得するのは、生々しいお金の話も出さなければいけないので、なかなか気が進まない。

しかし、土地は持っている間、税金や維持費がかかる。売り時を逃すと、値崩れするどころか、売れ残るリスクもある。

売ってしまったほうが、反対している人にとっても結局は利益になる場合も多いのだ。

だから諦めずに、売却する方法を見つけていこう。

この記事を最後まで読めば以下の3つが分かるはず。売却への抵抗に負けず、売り切ってほしい。

  • 共有名義の土地とは?
  • 共有名義の土地を売却する方法
  • 共有名義人の反対を解決する方法

最新情報! 少しでも不動産を高く売る「賢い方法」とは?

ハーリーハーリー

僕も以下の方法で土地を売った。最初に売り出した値段より230万円高い2310万円で売れた。

不動産の賢い売り方とは?

共有名義の土地とは?

共有名義というのは、複数の人が同じ土地を共有している状態のことをいう。

名義人ごとに所有している土地の割合が決まっていて、その割合を「持ち分」と呼ぶ。

土地が共有名義になるパターンはいくつかある。具体的な原因を挙げてみるとよくわかる。

  • 例1. 父親が2ヵ月前に亡くなり、父親が所有していた土地を兄妹3人で相続した
  • 例2. 自分の資金と妻の資金を合わせてマイホーム(建物+土地)を購入したが、離婚した
ハーリーハーリー

相続と離婚。共有名義の二大原因だね。

共有名義の土地の持分割合とは?

普通、「持ち分」というと、土地の所有面積をイメージしがちだけど、実は違う。

持ち分は、土地の「権利」を意味している。つまり、土地の「持ち分1/2」というのは、面積の半分を所有しているということではなく、その土地の「所有権」を半分持っているということ。

ハーリーハーリー

持ち分について注意がひとつ。それは権利の力。

持ち分の割合の大きさは、土地に対する権利の強さを表していない。つまり、持ち分が大きいからといって、土地を自由に処分してもいいというわけではないんだ。

持ち分の割合に関係なく、土地全体は名義人全員の「共有」になっている。「売る/売らない」に全員の同意が必要になるため、揉めることになってしまうわけだ。

共有名義の土地を売却する方法

共有者全員の承諾を得ているなら、何も問題ない。

一般的な手順で普通に土地を売却すればいいわけだ。信頼できる不動産屋を見つけるため、まずは査定から始めよう。

少しでも高く売却するための不動産会社の選び方

ただ、以下の点には注意しておこう。共有名義の土地を売却するときの鉄則だ。

  • 口頭の承諾だけでは売却できない
  • 売却益は持分割合通り
  • 経費も持分割合通り
  • 確定申告は名義人ごとに必要

それぞれ簡単に説明する。

「口頭の承諾」だけでは売却できない

共有名義になっている土地を丸ごと売却するには、口約束だけでは足りない。共有者全員が承諾した証明書(実印の押印、契約書の記入など)を用意しよう。

売却益は持分割合通り

土地の持分割合が半分ずつ、つまり「1/2」の場合は、売却益の分け方も「1/2」になる。

例えば、持分割合に大きな差があったとしよう。

Aさん4/5。
Bさん1/5。

売却益は上の割合通りに分ける。

仮に1000万円で売れたら、Aさんが800万円、Bさんが200万円を手に入れる。

経費も持分割合通り

売却益と同様に、売却にかかった経費も持分割合に沿って計算する。

売却にかかる経費で代表的なものは仲介手数料だ。

ハーリーハーリー

仲介手数料については以下の記事が詳しい。
この記事を読み終わったついでに見てみるといいよ。
土地を売るのにかかる費用。仲介手数料はいくら、いつ払う?値引きはできるの?

確定申告は名義人ごとに必要

共有者全員がまとめて確定申告することはできない。名義人ごとに必要な書類を用意して税務署へ提出する。

ハーリーハーリー

納税額の計算は1人1人行われるよ。
名義人それぞれが納税しなければいけないんだ。

夫婦名義の土地は合算できる

いままで説明してきたことに反するけど、夫婦で共有名義の土地の場合は、売却価格と経費を合わせて一人分として扱うことができる。

確定申告も二人分を合わせて名義人一人がすればいい。

共有名義人が売却に反対している場合の解決方法

共有名義人がひとりでも反対している土地は売却できないとお伝えした。

ただ、実際には持分割合の範囲であれば自由に売れる。しかし、一般的に土地の取引は住宅用に購入されるケースが多いため、「1/2の所有権」となる土地を購入する買い手はまず現れないだろう。

そのため事実上は、共有名義の土地を処分するための解決方法は、以下の4つの選択肢となる。

  • 共有名義不動産の買取を専門にしている会社に依頼する
  • 自分で共有者の持分割合を買い取る
  • 共有者に交渉して買い取ってもらう
  • 土地を持分割合に応じて分筆する

共有名義不動産の買取を専門にしている会社に依頼する

ハーリーハーリー

実は、共有名義不動産の買取を専門にしている不動産会社があるんだ。

相続や離婚などで「自分の持分割合を売却したい」という売主を対象にした不動産会社だ。

専門的に共有名義の土地に特化しているだけあって、自分の持分割合の売却だけではなく、相続直後で登記や所有権の移転についてもアドバイスをもらえる。

以下は、不動産の「共有持分」を売却する場合の専門社だ。相談だけなら無料なので、自分の持分だけでも売りたいと頭を抱えている人は頼ってみるといい。
不動産「共有持分」の専門家による無料相談

自分で共有者の持分割合を買い取る

頑固に売却を反対する共有名義人も、実際にあなたが「いくらで」と買取額を提案すれば首を立てに振るかもしれない。

他の共有者の持分割合を買い取った後、土地全体をまとめて売り出すという方法だ。

ただし、土地の売買は高額で取引されることが多く、たとえ土地の半分の権利を購入するだけでも数千万円の費用が必要になる。

ハーリーハーリー

必ず資金を準備する計画が明確に決まってから、共有名義人に交渉を始めよう。でないと、買い取るお金が不足し結局は売却できない状況にハマってしまうよ。

共有者に交渉して買い取ってもらう

先ほど紹介した方法とは真逆。

他の共有者に自分が所有している持分割合を買い取ってもらうという方法だ。

相手に相談して了承を得られれば、持分割合だけを現金化することができる。

ただ現実的には、そもそも買い取る意思がないか、そんな現金はないという理由で断られてしまうケースがほとんとだろう。

ハーリーハーリー

自分の持分だけでも手放して現金化したい場合は、市場に出回っている価格の半額で交渉する。そういう相手が得するような取引を持ち掛けなければうまくいかないと思うよ。

土地を持分割合に応じて分筆する

分筆は、1つの土地を2つ以上に分けることをいう。

共有名義の土地であっても分筆を行えば、それぞれに所有権がある土地に変わる。共有という縛りがなくなった単独名義の土地になるというわけ。

ハーリーハーリー

分筆してしまえば、「私は売りたい/売りたくない」の揉め事を起こさずに済む。売却か運用するか自分だけの土地になるから自分だけの意志で決められる。

しかし、分筆にはデメリットもいくつか存在する。

分筆は手間と費用がかかる

分筆は、境界線を決め、登記もしなければけない。その手順ごとに費用が発生する。

以下が分筆の流れを簡単に説明したものだ。

1. 境界測量確定

複数の土地に分けることになるので、境界線が生まれる。

境界線の確定は、土地家屋調査士へ依頼する。地積を測定し、境界杭を設置して土地ごとの測量図を作ってもらわなければいけない。

ハーリーハーリー

測量については以下で詳しく特集している。
また読んでみてね。
土地を売却するために測量は必要なのか?費用や依頼先も教えて

2. 分筆登記申請

分筆後は、土地の個数は分かれるけど、名義は共有のまま。だから、分筆登記申請を行って名義も別々にする。

登記申請は単独では不可だから共有者全員での申請しなければいけない。

3. 所有権移転登記

登記申請で名義を分けた後は、所有権の移転登記をする。ついに、分けた土地それぞれが単独名義の土地に。

分筆登記申請を行っても、この所有権移転登記の手続きを踏まないと単独名義の土地にはならないのでご注意を。

このように分筆の手順は煩わしい。費用もかかって、境界測量確定(約50万円)、分筆登記申請(約5万円)、所有権移転登記(約5万)と、数十万円のコストがかかってしまう。

分筆は、土地の分け方が難しい

分筆は土地の持分割合に応じて面積を分ける作業。境界線の分け方によっては土地の価値が大きく変わってします。

例えば、1つの土地を2つに分けるとしよう。

片方の土地だけが道路に接する状態になってしまうと、もう片方の土地の価値は大きく下がってしまう。また、角地の土地とそうでない土地に分けた場合も同様に価値が偏ることになる。

ハーリーハーリー

つまり土地の面積を同じに分筆しても、土地の価値を同等にすることは難しい。大きく価値に差が生じてしまう分筆がさらに共有名義人と揉める火種になりえる。

面積を分けることは簡単でも、「持分割合通りの価値に分けるのは困難」というわけだ。

分筆にもっと詳しくなりたければ以下の記事を読んでほしい。
広い土地を分割して売るには?分筆が必要です。一括売却と比べてみよう

共有名義の土地を売却する方法 まとめ

共有名義の人に土地の売却を反対されている場合の解決策としては、やっぱりこうなるだろう。

土地を売却することのメリット=現金化できる、維持費管理が不要になる
土地を所有しておくことのデメリット=固定資産税の負担、防犯上のリスク

こうりた土地売却のメリットとデメリットを根気強く丁寧に説明して納得してもらうのが、あとあとのトラブルにも繋がらず最も売却に前向きな方法だ。

ハーリーハーリー

土地を売ることへのメリットとリスクは以下で詳しく説明しているよ。
土地を売るか迷う?土地売却のメリットとデメリットを比較すれば決心できる

それでも反対され続けた場合は、やっぱり専門家に任せるのが一番安心だ。

共有名義人ということは、いままで家族だったり、今後も付き合いのある人達だ。私情が挟むことで、根深い軋轢を生むのは土地が売れないことよりも大きな損を生む。

客観的に状況を判断しベストな方向性を考えられる、共有名義の土地を専門にあつかうプロの意見を聞いてみるのがいいだろう。

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