マレーシアの治安について移住者が感じたまままを語っていくね。

せっかく取れた久しぶりのまとまった休みにマレーシアへの観光旅行を計画している人は、安全だと信じ切っていたマレーシアの真実を知って、少しがっかりするかも。

これからMM2Hビザの取得を検討している移住予定者にとっては、良い心構えになると思うよ。

といっても、めちゃくちゃに恐ろしい話ではないから安心してね。少し身のまわりに気をつけるだけでいい。

旅行者は旅を最高の思い出にするために。移住者は新天地で始まる第二の人生を今まで以上に幸福で満たすために、まずはマレーシアで生まれ育った現地人の生の声を紹介しよう。

治安についてマレーシア人に聞くと意外な真実が

現地人たちはみんな声を揃えて僕に言ったよ。

クアラルンプールは危険。

クアラルンプールに住んでたときは週3でムエタイのジムに通ってた。フィットネス系ではなくガチンコでファイターを育てるためのジムだから、ジム生は戦えるだけの気持ちと体を持ってる。

女子も人数は少なかったけど混じってトレーニングに励んでいた。僕なんかよりよっぽど動きが速くて、パンチも蹴りも受けると重い。戦って勝てる気はしない。

そんな屈強なジム生たちがみんな、「クアラルンプールは危ないんだよ」とか言う。えー、あなたたちにとっても? と思ったよ。トレーニングが遅くに終わったある晩なんて、「この辺は危ないから」と言って、逆方向なのに家まで車で送ってくれた。感謝の気持ちと一緒に、やっぱりここは危険なところなんだなあと身が引き締まる思いが出た。

つまりは、そういうこと。マレーシアは日本でいわれているほど安全じゃない。なめてかかると痛い目に遭う。

最近は一人でもバックパックを背負って東南アジア周辺を巡る女の子が増えている。マレーシアは東南アジアの中だと最も安全なところだといわれている。インドやタイの経験があると気が緩むかもしれない。

抵抗力の劣る女性を狙う犯罪はなおさら許せないけど、確かに多いのが現実だから、巻き込まれないように細心の注意を払おう。

犯罪の発生率で見るマレーシアの治安

マレーシアで起こる犯罪率を調べてみた。目立つものを挙げておく。

(1)殺人:456件(前年比43件減少,人口10万人あたりの発生率は日本の約2倍)
(2)強盗:14,453件(同705件増加,人口10万人あたりの発生率は日本の約25倍)
(3)強姦:1,886(同161件減少,人口10万人あたりの発生率は日本の約7倍)

海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ

最近危なくなってきたなあとか言われる日本でも世界的にはもっとも安全な部類に入る国なので、マレーシアの犯罪率の方が日本よりも高くなるのは当然だけど、マレーシアを訪れる観光客をこの目で見てると、日本よりも安全性の低い国へ来てるという自覚はなさそう。

ブキビンタンは、クアラルンプールの中でもっともスリが頻出するエリア。少しずりオチたジーンズの後ろのポケットから、長財布が半分飛び出している状態で歩く日本人男子をある土曜日に4人も見たよ。

カフェで日本人女性のグループがそれぞれスマホに集中していた。椅子の背もたれからぶら下がる鞄の口は開いていたなあ。近づけばたぶん中身が丸見えになってると思う。

犯罪データを見ると、確かに殺人のような大きな犯罪は減っているけど、スリやひったくりなど軽犯罪は増えている。こういう街角で勃発する犯罪を街頭犯罪と呼ぶらしい。調べていて初めて知ったよ。

クアラルンプールの治安

クアラルンプールは世界各国から人が集まる。クアラルンプールをめがけた人だけじゃなくて、クアラルンプールの国際空港は東南アジアを巡るときのハブとしても働いているから、乗り換えのための経由地として短期滞在する旅行者も多い。

世界中から観光のため訪れるクアラルンプールで、特に観光客の多いブキビンタン。ショッピングエリアだけに、パンパンに詰まった財布を抱えて買い物に向かう旅行者がスリやひったくりの餌になる。

クアラルンプールで最も盛り上がる夜の屋台街もブキビンタンにある。ジャラン・アローだ。すれ違えないほど人が出る夜もあり、スリにとって絶好の釣り場になる。

クアラルンプールの郊外に離れると違う種類の犯罪が増える。武器で脅して金品を奪い取る強盗だ。人混みの中で大きなナイフを振り回せば目立ってしかたないけど、人の目が極端に減る郊外で特に夜なら、力任せに強奪してもまわりには気づかれずに済むよね。

ペナンの治安

マレーシア屈指のリゾート地はペナン島。海の写真映りに期待しすぎて行くと、意外に汚くて落ち込む。

それでも雰囲気はまさに南の島のそれだから、のんびり定年後を過ごしたい移住者に人気がある上、世界遺産に登録されたこともあって観光客も多い。

住んでいた感想では、クアラルンプールとは全然違って平和な雰囲気しか感じなかった。

ペナン生まれの友人は、大学時代はクアラルンプールで過ごしたらしい。クアラルンプールの猥雑さに嫌気が指したのがペナンへ戻ってきた理由で「ペナンに危険はない」と言い切る。

年金世代の僕の母を一ヶ月間招いたことがある。その年代の女性が一度きりバスで島内を一緒に巡ってあげたあと、一人で勝手に朝から夕方の17時頃までを外で満喫していた。ペナンの安全さが伝わるかと思う。

ただ交通事故や転倒など道中で怪我しないためには、クアラルンプールと同じくらいの注意が必要だ。

こんな感じにクアラルンプールとペナンでは同じ国でも治安はぜんぜん違う。僕は行ったことのないシンガポールに近いジョホールバルは、クアラルンプールよりさらに危ないという噂をよく聞く。

スリ・ひったくりから身を守る方法

僕はすべての持ち物を体に縛り付けている。財布はチェーンで、iPhoneはストラップを付けてベルトループに結んでる。

最近気に入ってるのは腰に巻くタイプのマネーベルトで、3箇所あるポケットはお金を出しやすく入れやすく隠しやすい。防犯性の高さを極めてる。

女性は簡単な街歩きでも荷物が増えがちだよね。肩がけのバッグやポーチは身軽にしてくれるから重宝するけど、必ず道路とは逆の方向に下げて歩こう。道路を走る車の窓から伸びた腕にひったくられるという危険があるからだ。

歩いている途中、何度も見かける不審なバイクにも気をつけよう。ひったくりのチャンスをうかがってる。バッグを掴んだまま引きづられて大怪我した被害者もいる。

インスタに集中しすぎるのも禁物だ。置き引きの技は素早いから。少し目を離した瞬間に足元のバッグはなくなっているだろう。

交通事故に注意

車社会のマレーシアでドライバーに歩行者優先の意識はない。本当に見てないんだから。ちょっとした停止の間にも、スマホ画面をいじってメッセージを交換してる。待ってくれる、避けてくれるなんて期待していたら、裏切られるよ。普通にはねられるから。

履き慣れた靴が身を守る

旅行には履きなれた靴で行きなさいは決まり文句みたいなものだけど、マレーシアに行くときは本当にこの靴のルールを守ったほうがいい。道がすごく悪いからだ。

舗装された日本の道路のつもりで歩くと、たちまちつまづく。つまづくだけで済めばいいけど、年配の方は大きく転倒してしまったら大変。

ゲリラ豪雨に襲われることが多いマレーシアの道は、よく濡れてる。滑る機会が多いわけだ。滑る、グネる、折れるはまったく美しくない三重奏。避けるには、やっぱり履きなれたスニーカーしかない。

タクシーは乗らない

え? と思うかもしれない。でも乗らないんだ本当に。

クアラルンプールのタクシーは悪評で充ちてる。乗る前の値段交渉はダルいし、メータを回してもらっても機械ごとちょろまかされる仕組みになってることもある。

一方通行の多い道路だから、予想していたのとはまるで反対方向へタクシーが走るのはごく普通のことなんだけど、わざと遠回りしてぼったくりにあってるんじゃないかという不安がよぎる。

こういうタクシー絡みの面倒はUberで解決できる。一般の現地人が希望の場所まで自家用車に乗せていってくれるサービスだ。GrabCarというのも同じ系統のサービス。両方ともスマホアプリで乗せてくれる車を呼べる。

料金は乗る前に確定するから、運転手と下手な値段交渉はしなくて済む。清算はクレジットカードでできるから小銭を持ち歩く必要もなくなる。明瞭会計バンザイだ。

ドライバーの対応もタクシーの運転手と比較すると桁違いに感じが良くて、心配なら乗車前にプロフィールを見れるから、ウマが合いそうなドライバーを選べば良い。

Uberを利用するにはネット接続がいる。ポケットWi-Fiを日本からレンタルしてくるか、SIMフリーのスマホを持っていればマレーシアに着いてからデータ通信用のSIMカードを買って挿す。

旅先でネットがあるとすべてにはかどる。Googleマップを街中で確認したり、トリップアドバイザーを見て周辺のおすすめレストランを探したり。インスタへアップするのも撮ったあとすぐだ。ポケットWi-Fiでも現地のSIMカードでも、費用対効果は絶大、保証する。

スキミングを知ってる?

スキミングは、他人にクレジットカードを複製されてしまう犯罪のことだよ。複製されるのは、盗まれるのと一緒だよね。他で勝手に使われてしまうんだから。

スキミングの手口はますます巧妙になってきてる。スキマーというスキミング用の機械がATMのカード投入口に隠しつけられているわけ。知らずにカードを滑り込ませて、暗証番号を打つ。その過程をスキマーがコピーする。

僕の父がまさにクアラルンプールで被害に遭ったんだよ。小汚いガソリンスタンドのATMからキャッシングした数日後にカード会社からの連絡で知る。

スキミングによる被害額は、カード会社が補償してくれたからよかった。ただ後始末がかなり面倒だね。クレジットカードを再発行しなくちゃいけないからだ。

スキミングの防止対策は、暗証番号を守ることにある。スキマーは、クレジットカードの番号は盗めても、暗証番号までは抜き取れない。暗証番号を指で入力するときは、必ずもう片方の手のひらでカバーするんだ。どの角度からも暗証番号を打ち込む動きが見えないように。

クレジットカードを2枚持っていれば、万が一スキミングの被害に遭っても安心だ。被害に遭ったカードの再発行は、帰国まで間に合わないだろう。それでも残りの1枚が使えるから、最悪の事態は防げる。

クレジットカードに付く海外保険の治療補償額は2枚分を合算できる。旅行中はいつもと違う環境のせいで体調を崩すことが多い。病院に行く可能性は大いにあるわけだ。

アメリカと違ってマレーシアの病院は普通の診察ならそんなに高くなることはない。クレジットカード2枚分の保険でじゅうぶんにまかなえる範囲に収まる。

スキミング予防だけじゃなく病気やケガのことを考えても、やっぱりクレジットカードは2枚持ちが正解。

日本語で話しかけて来る人は無視する

だいたい旅の途中の僕に話しかけてきて何の得があるというのだ。

トランプ詐欺を知ってるかい? マレーシアだけでなくフィリピンや他の東南アジアの国でも流行ってる詐欺だ。日本語で話しかけることで安心させ、仲良くなったあと家に招く。なぜか気づけばトランプゲームに興じている最中で大きく負けこんでいることに泣く。

こんなの誰が騙されるの。そう言いたくなるのはわかるけど、騙される人がいるから流行るわけで。詐欺師は本当にうまいのだ。ただただうまい。どうやって防御するかは、関わらないこと。最初から無視しておけば、騙されることもなくなる。

ナイトライフはほどほどに

お酒絡みの犯罪は多い。昏睡強盗や睡眠薬レイプ。飲み物に知らずのうちに薬物を混ぜられて、酩酊している最中に被害に遭う。

そこまでの危険じゃなくても、飲めば気は緩む。千鳥足で防御力の低くなってる、土地勘がない旅行者ほど、スリが好むターゲットはない。

飲まない旅がどうして面白くなるのか。僕もそう思ってるよ。でも記憶を飛ばすほど飲むことにどんな価値があるのか。せっかくの旅を思い出せないじゃないか。そんなのもったいないよ。

マレーシアにもテロはあるの?

世界的にリスクが高まるテロについて。マレーシアも同じく危険性が増している。

昔から情勢が不安定だったのは、サバ州東側のエリアで今も渡航中止の勧告が外務省から出てる。このエリアにクアラルンプールやペナンは入ってないけど、最近はこんな物騒な事件のニュースがクアラルンプールから届けられた。

2016年6月28日にクアラルンプール市郊外プチョン地区のショッピングモール内飲食店において手榴弾投てき事案が発生し,8人が負傷しました。マレーシア国家警察は,本件事件をISIL関係者がマレーシア国内で敢行した初のテロ事件と発表し,実行犯を含む関係者全員を逮捕しました。

また,2016年1月15日にクアラルンプール市内でテロ攻撃を企図していたとして男性が逮捕されたほか,同年8月下旬にはテロ容疑に係る大規模な摘発で3人が逮捕されるとともに,けん銃と手榴弾が押収されています。2017年4月には,シリアで警察への攻撃を予告する「警告映像」をインターネット上に公開するなど,宣伝と勧誘活動を主導してきたマレーシア人ISIL戦闘員の死亡が確認されましたが,マレーシアにおけるISIL等のテロに関する情勢は,依然として,予断を許さない状況にあります。

外務省,海外安全,海外安全情報

実際テロなんて、起こってしまったら、起こってしまったこと。こんな僕が事前にどうこう予防できる問題でもないのだけど、どこにどんな危険がひそんでいるのかという情報は、ネットで調べれば簡単にわかる。

訪れる国のことくらいは前もって調べておいたほうがいい。危ないといわれている地域には近寄らないようにしたい。

以上がマレーシアの治安について僕が知ってることだ。もしあなたが年老いた親やまだ小さな子ども、あるいはか弱い恋人と行動を一緒にするなら、なおさら危険への感度を上げて行ったほうがいい。