ハーリーハーリー

今回は、土地を個人間で売買するときの注意点をお伝えするよ。
個人売買のメリットは、不動産会社の手数料が不要だということ。
でも、個人間での不動産取引はトラブルに発展することも多いから注意が必要なんだよ。

不動産会社の助けを借りず、直接土地を買ってくれる人を見つけたい。
あるいは、売る相手が知人なので、わざわざ不動産会社を間に挟みたくない。

こうした場合の土地売却の方法が個人売買です。

実は、僕も相続した土地を「個人売買」で売却したいと考えていました。
自分で買い手を見つけられれば、不動産会社への仲介手数料が発生しないからです。

僕の本業はウェブ制作なので、売地を宣伝するためのホームページを作るのなんて、お手の物。
自作のホームページで買い手を見つけることができれば、不動産会社へ頼る必要はありません。

でも、最終的には不動産会社の仲介を利用しました。
個人売買について調べていくうちに、今回が初めての土地売却という僕には個人売買は荷が重すぎると気づいたからです。

不動産の売却はただ買い手を見つけるだけでは済みません。
売買契約のための書類作成。
売ったあとの確定申告。
不動産取引について専門知識のいる様々な業務をこなさなければいけません。
そんな知識、僕には備わっていませんでした。

以下は、僕が売った土地の記録です。
昨年、330坪の土地を坪単価7万円、合計2,300万円で売却しました。

僕が売った土地の履歴

相続で得たその土地は、田舎の奥のほうにありました。
交通の便が悪いだけでなく、土地のサイズが広すぎて一般家庭の住居には向かないという、売るには悪条件ばかりが揃った土地だったのです。

そんな土地が2,300万円の現金に変わりました。

知識なしの僕。買い手が見つかりそうにない土地。
それでも売れたのは、まさに不動産会社のサポートのおかげとしかいえません。

言ってみれば、不動産の個人売買とは、地図も持たず一人用のボートで太平洋横断に挑戦するようなもの。
少なくとも以下のような知識がなければ、途中での沈没、漂流はまぬがれません。

  • 売りたい土地に対して適切な売値の付け方
  • 売買契約に必要な書類の集め方
  • 購入希望者との交渉の仕方
  • 土地を売ったお金の受取方法
  • 土地を売ったあとの税金の計算方法

今回の記事では、個人売買の難しさと注意点をお伝えします。

まずは、個人売買と不動産会社の仲介を比較します。
個人売買と不動産会社の仲介、それぞれのメリット・デメリットを理解し、どっちがあなたに合う売却方法なのかを見極めましょう。

それから、個人売買の注意点を詳しく説明していきます。
不動産会社を頼らず、自分で買い手を見つけたい人は、必ず目を通しておいたほうがいいでしょう。
個人売買のリスクを回避するための方法がわかります。

それでは始めましょう。

個人売買 VS 不動産会社の仲介 どっちがいい?

どっちがあなたに合った土地の売り方なのか?
比べてみましょう。

ご存知のとおり土地の売り方は2通りあります。

  • 不動産会社の仲介
  • 個人売買

まずは、不動産会社を利用した場合のメリットとデメリットから説明します。

不動産会社の仲介 メリットとデメリット

ハーリーハーリー

不動産会社の仲介を利用するメリットは、なんといっても安心感。
仲介手数料の分だけ、安心して売却を不動産会社へ任せられるんだ。

メリット

  • 不動産売却が初めてでも大丈夫

デメリット

  • 仲介手数料が発生する

不動産を売るときの流れは複雑です。

僕がまず困ったのは、必要な書類集め。
土地を売るには権利書がいると聞きましたが、どこを探しても見つからず焦りました。
不動産会社へ尋ねると、権利書を紛失しても土地は売れるとのことで安心しましたが、書類一つに奔走しているような僕がひとりで売却を終わらせるのはとうてい無理な話ですよね。

ちなみに権利書紛失に関しての記事は以下にあります。

権利書がない!相続した土地の権利書を紛失しても土地は売れる?

また、専門的な知識がいる判断も、不動産会社のサポートが無ければ間違ってしまいそうです。

僕が売りたかった土地の上には建物の存在がありました。
住んでいない一戸建てで、今にも崩れそうなくらい老朽化した建物です。

それを壊して更地にすべきか、めちゃくちゃ迷いました。
結局は、解体して整地にしたのですが、決め手となったのはやっぱり不動産会社によるアドバイスでした

更地の方が買い主にとっては、買いやすい。
解体費用は自分で負担が必要だけど、経費に計上できるという点で更地にすることを決めました。
その解体に関するお話は以下の記事でしています。

土地は解体して更地にした方が早く高く売れるの?

こうした困ったり、悩んだりする場面が、不動産が売れるまで続きます。
素人が1人で乗り越えるのは不安ですよね。

確かに、不動産会社へ仲介を依頼すると手数料が発生します。
以下が仲介手数料を計算できる表です。
見て分かる通り、決して安くはありません。

取引額 仲介手数料
200万円以下 取引額×5%
200万円超~400万円以下 取引額×4%+2万円
400万円超 取引額×3%+6万円

仲介手数料は「売却価格×3%+6万円」が上限値として決められています。
仮に土地を1,000万円で売却したことを想定すると、36万円の仲介手数料を支払うことになります。

売却価格が上がるほど仲介手数料も高くなります。
僕の土地はもともと相続で転がり込んだ土地ですから、二束三文でも売れればいいと考えるべきかもしれませんが、実際にこれから払う手数料の額を見るとやっぱりもったいないような気がしてきます。

でも、売却を終えてみると、仲介手数料は妥当でした。
あれだけ難しい業務を代わりにやってもらえたのですから。
僕の能力からして、どう頑張っても不動産会社の助けなしでは、あの売れそうになかった土地を売却できたとは思えません。

ただし、仲介サービスを利用するときは必ず「信頼できる不動産会社」を選択する必要があります。
実は、僕の土地は2つの不動産会社を経てようやく売れたのです。

最初に依頼した不動産会社ではまったく買い手が見つかる気配がしませんでした。
まったく反響のないまま時間だけが過ぎ、このままでは売れないと判断し、別の不動産会社に変更しました。

不動産が売れるかどうかは、担当する不動産会社の力によります。
間違った不動産会社に任せると、売れない時間だけではなくお金も損するリスクがあります。
売れない理由を売却価格が高すぎると勘違いして値下げをしてしまうからです。

本当は売れるべき値段で売り出していても、不動産会社の働きが悪ければ、売れません。
時間もお金もムダにしないために、不動産会社の仲介を選択する場合は、必ず不動産会社の正しい選び方を知っておきましょう。
以下の記事では、信頼できる不動産会社を見つける方法について詳しく説明しています。

少しでも高く売却するための不動産会社の選び方

個人売買のメリット デメリット

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個人売買のメリットは、仲介手数料がかからないこと。
でも、手数料の負担が減る分、手間や苦労が重くのしかかってくるから注意が必要だよ。
あとで買主と揉めないように、トラブルのリスクはかならずゼロにして売却を終えよう。

メリット

  • 仲介手数料を払う必要がない

デメリット

  • すべてのトラブルは自己責任

土地の売却に必要なすべての業務は自分でするので、不動産会社へ支払う仲介手数料は不要です。
そのため、売れた値段がそのまま自分の懐に入ります。

僕が売った土地は正確には23,161,600円でした。
仲介手数料は、その3%+6万円で、754,800円。

75万円のお金を支払うのは、額面だけを見るともちろん損した気分になります。
でも、個人的な意見では、すでに前のところでお話した通り、不動産会社の仲介業務は75万円に見合った量と質でした。

知人や親族に売る場合でも、権利関係やお金の受け渡しについてはあとでトラブルになりやすいので、やっぱり専門家を挟みきちんと取り決めをしておいたほうがいいでしょう。

特に僕の場合は、決済は一番緊張する瞬間でした。
土地を売った2300万円の現金を受け取るときです。
大手の銀行の特別待合室で、不動産会社に付き添ってもらい司法書士も立ち会い買い主の預金口座から僕の通帳へ振込が行われます。
こんな大金のやり取りを個人同士でするなんて、恐怖以外の何物でもありませんよね。

土地の個人売買で注意すること

これまでお話してきたように、特に不動産取引の素人にとっては、個人売買は苦労の連続になると予想されます。
注意しておきたいのは、個人売買による将来のリスクです。

買い手を見つけることさえできれば、売却は成立します。
しかし、売った後に売買条件について売主と買主の認識が異なることが原因で、将来的に大きなトラブルに発展する恐れがあるのです。

以下で、個人売買の注意点を10個挙げておきます。
売却の前に必ず各注意点について明確にしておきましょう。

個人売買の注意点

  • 売却価格は適正かどうかの判断
  • 売買時に発生する様々な費用をどちらで負担するのか
  • 境界の確定や測量について
  • 融資を受けるには不動産会社の重要事項説明書が必要
  • 固定資産税の清算
  • ライフラインのチェック
  • 負担金の有無
  • 法令などの制限等はないのか
  • 税金の支払い方法
  • 決済・売却したお金の清算方法

売りたい土地の適正価格を知っておく

ハーリーハーリー

個人売買では、売りたい土地に自分で値段を付けるよね。
あなたの土地は適正な値段になっているかな?

土地を感覚で付けた値段で売ってしまうと、本来の売れた値段よりも損をしてしまう危険があります。
そうかといって、不動産市場で取引されている相場よりも高く値付けをしてしまうと、買い手が現れません。

損をせず買い手を見つけるには、先に土地の相場を知っておくことが重要です。

土地の正確な相場を知るには、不動産会社の査定サービスを利用します。
近所の不動産へ足を運び査定を依頼するのは、あとで断る可能性がある場合気が引けますよね。
そうした場合は、ネットでの一括サービスなんて便利ですよ。

一括査定のサービスは、一回のお問い合わせで複数の不動産会社から土地の値段を見積もってもらえます。
見積の金額は、不動産会社自身の売却実績を根拠にしているので、相場に適した売れやすい価格を知ることができるというわけです。

一括サービスでも、少なくともどこか1社は断る必要があるのですが、以下のイエイのように、断りを代行してくれるところもあります。
気弱で断ることが苦手な人にとって、頼りがいのあるサービスです。

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売買時の費用を売主・買主のどちらで負担するのかを決めておく

ハーリーハーリー

不動産会社の仲介を利用した場合の費用で代表的なのは仲介手数料。
仲介手数料が発生しない個人売買でも、実は他に経費がかかるんだよ。

個人売買で売っても、実はいろいろと費用がかかります。

以下は、その例です。

印紙税 不動産の取引額で代金は異なります
譲渡所得税 売却時に利益が出た場合に発生します
解体費用 土地に経つ建物を更地にする費用です
測量費用 土地の測量が必要な場合に発生します
抵当抹消登記費用 登録免許税+司法書士への費用

このような費用を買主であるあなたか、売主のどちらで負担するか必ず先に明確にしておきましょう。

例えば、解体費用は僕の場合で300万円近くかかりました。
もし買主側の依頼で解体することになれば、300万円の負担をしなくて済む可能性があります。
その分、売値の値引きを求められるかもしれませんが、それも含めて、交渉の段階で話し合っておくことが重要です。

測量を行い境界線の確定をしておく

土地を売るときに必ず測量を行わなければいけないという法律はありません。
しかし、測量をせずに土地の境界線があいまいなまま売ってしまうと、あとで買主だけでなくご近所さんも含めたトラブルへ発展することがあります。

ハーリーハーリー

土地の測量とは、隣接した土地の境界を決めることをいうよ。
土地の面積を計測して、境界線を記した測量図を作成するんだ。

上の費用のところでも説明しましたが、測量には費用が発生します。
測量費についても、売主・買主のどちらで負担するのか決めておきましょう。

測量についての記事も以下で書いています。

土地を売却するために測量は必要なのか?費用や依頼先も教えて

融資を受けるには不動産会社の重要事項説明書が必要

不動産の売買は何千万単位の高額な取引ですよね。
そのため、買主はローン融資を受けて購入することが一般的です。

買主が銀行から融資を受けるには不動産会社が作成する「重要事項説明書」が必要になります。
重要事項説明書は宅建保有業者でないと作成することができません。
個人売買では作成できないことを理解しておきましょう。

ハーリーハーリー

重要事項説明書とは、宅地建物取引業法で義務付けられている土地の説明書のことだよ。
不動産(マンション・一戸建て・土地など)の現況や使用における条件など、契約に関する重要な事項を買主(借主)に説明を行うためのものなんだ。

重要事項説明書には、以下のような物件や契約内に関する注意事項を記載します。

  • 登記された権利の種類、内容
  • 法令上の制限
  • 私道負担に関する事項
  • 電気、ガス、水道の状態
  • 契約解除に関する事項
  • 代金、賃借以外の金銭の額と目的
  • 損害賠償の予定、違約金
  • 手付金等の保全措置の概要

固定資産税を買主・売主のどちらが負担するかを決めておく

固定資産税はその年の1月1日に不動産の所有者に課せられる税金です。
したがって、所有している土地を7月に売却した場合でも固定資産税は「1年分」を払うことになるのですが、買主・売主間で話し合うことで精算が可能です。

僕の場合は、買主の方で払ってもらう取り決めをしました。
例えば、年額20万円の固定資産税が課されている土地を7月に引渡しした場合は、固定資産税の半分額である10万円を買主に負担してもらう、ということです。

ライフラインのチェックをしておく

ハーリーハーリー

ライフラインとは、水道やガスなど生活を支える設備のことだよ。
土地にもし水道やガスが通ってなければ、土地を買ったあとの買主に大きな工事が必要になるよね。

もともとも戸建てが立っていた土地のように普段から使用していた土地であれば問題ありませんが、放置している土地を売却する場合は、必ず、ライフラインの状態をチェックしておきましょう。

例えば、売ったあと「水道が使えない」ということが発覚すると、契約自体が破棄される大きなトラブルへつながることもあります。

負担金の有無を調べておく

ハーリーハーリー

土地の所在するエリアによっては、下水道事業受益者負担金のような負担金が発生することがあるんだよ。

下水道事業受益者負担金とは何かを説明します。

公共下水道が整備されると土地の利便性や快適性が向上します。
下水道は誰でも利用できる道路や公園とは異なり、利用できる対象は下水道整備区域内の住民などに限定される公共施設になります。

このように、下水道を整備しない区域に住んでいる住民との公平性を保つため、下水道区域内に土地を所有している特定の方などに事業費の一部負担が課されることになります。

これを下水道事業受益者負担金といいます。

こうした負担金の有無もライフラインのチェックと同じように事前に調べておかなければ、売ったあと買主から「知らなかった」というクレームを受けることにつながります。

土地の利用に法令の制限はないのかを調べておく

不動産の使用方法には「都市計画法」「建築基準法」などの法令が関わってきます。

法令によっては建築できる建物の種類や高さなどが制限されます。

例えば僕の土地は、商業利用ができない場所にありました。
住むこと以外に例えばレストランを開業したり美容室をオープンしたりが認められていない土地だったのですね。

売却土地に利用方法で制限がある場合はあらかじめ取引相手に伝えておかなければいけません。

このような法令の制限は、不動産会社による仲介の場合、必ず重要事項説明書で説明します。
重要事項説明書は不動産会社だけが作れる書類なので、個人売買の場合は省かれることがあります。
重要事項説明書を使わない場合でも必ず法令による制限については買主に説明しておくようにしましょう。

税金の支払い方法について調べておこう

土地を売却して利益が出ると「譲渡所得税」という税金が課されます。
譲渡所得税の金額がいくらになるか知るには確定申告が必要です。

個人売買で売却する人は、あらかじめ確定申告の方法や税金の計算方法について調べておいたほうがいいでしょう。
僕の場合は、仲介してもらった不動産会社と税理士に手伝ってもらい確定申告を難なく終えることができました。

土地が売れたお金から翌年税金を支払います。
土地を売って手にしたお金を全部使ってしまわないよう気をつけましょう。
少なくとも税金分を残しておかなければいけません。

不動産取引の知識と経験のない人はやっぱり不動産会社へ相談したほうがよい

不動産会社に仲介を依頼するデメリットとして「仲介手数料」を挙げましたが、これまで挙げた注意点を見ると仲介手数料の価値が理解できたと思います。

個人売買だと、売却の前の下調べから買い手との交渉に至るまで様々な面倒で難しい業務の負担が発生します。
一生懸命、慎重に進めたつもりでも、知識の不足で予期せぬトラブルを招く恐れがあります。
不動産取引のトラブルはお金が絡むことがほとんどで、解決には法律的な知識が求められることのほうが多いでしょう。

売却の途中も終わったあとも頼りになるのは専門家である不動産会社です。
不動産会社の中にも悪質な業者がいるのは事実ですが、個人売買のリスクと比較すると、信頼できる不動産を見つけることのほうが簡単です。

以下の記事では、不動産の売却になれた人なら必ず知っている不動産会社の選び方をまとめています。
個人売買を検討している人でも、査定に不動産会社を利用することはあると思うので、一度は読んでみても損にはならなないと思います。

少しでも高く売却するための不動産会社の選び方