ない! ない! ない! 土地の権利書がない! 見当たらない(泣)。
土地の権利書を紛失しても土地は売れるの?
結論からいうと、権利書がなくても土地は売れる。
でも、土地の権利書を再発行することはできない。
ん、どういうこと?
権利書を紛失しても土地は売れる。
でも、権利書をもう一度発行してもらうことは無理なの?
こうした疑問を抱くのは、よくわかる。実は僕が昨年土地を売ったときも権利書を見つけることができなかったからだ。
そこで今回は、僕と同じように土地を売却するんだと決意したものの、「権利書を紛失してしまった」という人のために以下の点を明らかにしていく。
- 権利書って何?
- 権利書がないと土地が売れないの?
- 相続した土地の権利書ってどうなるの?
- 紛失した権利書の再発行は可能なの?
- 権利書がなくなると何か悪いことが起きるの?
読み終わる頃には、権利証に関しての不安が全部解決しているはずだ。権利書を紛失して焦っている人は、とりあえず落ち着いて、ぜひ最後まで読んでほしい。
そもそも権利書って何?
権利書は、土地の所有者を証明する書類のことだよ。
不動産の売買に携わる人でもない限り、土地を持っていても権利証についての知識は深くない。だから、権利書の扱いも雑になるのは仕方ない。保管してる場所がどこかわからず、紛失していまう人が多いんだ。
土地を売却することを決めて、初めて権利書の存在を意識する。それで、権利書をなくしたことに気づく、焦る。
僕も権利書が見つからないことにめちゃくちゃ焦ったよ。
権利書が誰かの手に渡って、土地を乗っ取られるんじゃないかなんて不安になった。
権利書について無知だったから、余計な心配をするハメになったんだ。
権利書は、不動産の所有権に関して登記が済んでる証拠だ。簡単に言えば、「この土地はあなたのものですよ」という証。
この権利書は、今と昔で形が違う。今はネット上のデータ。昔は紙だった。
昔の話からすると、権利書の発行は紙によるものだった。所有権の登記が完了すると、法務局から紙面で登記済を記す権利書が発行されていたんだ。
今は違う。データになった。
土地の所有権は「登録識別情報」という形でネット上に保管される。最初に設定しておく12桁のパスワードで、その土地が誰のものかを識別できるシステム。
権利書は、紙からネット上での管理に変化した。だけど、役割は同じ。結局は、土地が誰のものかを明らかにしている。
権利書は再発行できるの?
残念ながら、権利書の再発行は「できない」。
土地の売却を検討してから、初めて権利書の存在を知ったという人もいるだろう。
権利書がない。再発行できると思うよね。
でもできないんだ。
これは、権利書が紙の時代と今のネット上での登記識別情報でも同じ。登記識別情報を利用するにはパスワードが必要。そのパスワードを紛失すると、ネット上のシステムは使えない。
権利書がないと土地は売れないの?
安心していいよ。
権利書を紛失しても土地の売却は可能だからだ。
不動産の売却には、権利書と印鑑証明が必要。権利書を紛失した場合は、以下の手続きが増えるが、土地の売却は可能になる。
- 司法書士に本人確認情報を作成してもらう
- 事前通知制度を利用する
司法書士に本人確認情報を作成してもらう
本人確認情報は、「権利書または登記識別情報」の代わりになるもの。司法書士に依頼すれば作ってくれる。
不動産を所有している本人であることを証明できれば、権利書がなくても次の買い手が登記できる。
本人確認情報を司法書士に作成してもらうためには、以下のような本人確認用の書類が必要。実際どれが自分にとって必要かは、依頼時に司法書士に尋ねてみよう。
- 運転免許証
- 写真付きの住民基本台帳カード
- 外国人登録証明書
- パスポート
- 運転経歴証明書
事前通知制度を利用する
役所へ登記の事前に本人確認を通知するという制度がある。
買主の登記が完了する前に、売主の本人確認を書類で行う。流れは以下のとおりだ。
- 1. 権利書なしで買主が登記申請
- 2. 法務局が受け付ける。売主の権利が保証されていないので登記を保留
- 3. 法務局が売主宛に本人確認のための書類を送付
- 4. 売主が実印を押して返送
- 5. 新しく売主名義で登記が完了
司法書士に作成してもらう本人確認情報よりも手順が少なく簡単。
でもひとつ注意点が。
もし、4で売主が本人確認を返送しなかった場合、登記申請が許可されない。
受取に誤りがあったり、返送を忘れていたり、何かの理由で本人確認の失敗がありえる。
だから、この事前通知制度ではなく、司法書士に本人確認情報を作成してもらう方法のほうがおすすめだ。
本人確認情報の作成、事前通知制度の費用
費用の目安を表にしておく。
本人確認情報の作成 | 50,000~100,000円 |
---|---|
事前通知制度 | 30,000円 |
両方とも目安として考えてほしい。
特に本人確認情報の作成は、依頼する司法書士によって金額に差が出るよ。
権利書紛失のリスク
一番の心配事がこれだ。
誰かに土地の権利を取られるのでは?
それはないから安心していい。
なぜかというと、土地を売るには必ず以下の2つが必要だからだ。
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
権利書だけを盗まれても、犯人に土地の売却は不可能。
さらに不動産の売却には権利関係の移動がある。権利関係の移動は、司法書士が慎重に行うので、売買途中に不審なところがあると、確実にバレてしまう。
プラスで法務局のチェックもある。
司法書士と法務局の二重のセキュリティチェックをくぐり抜けないと土地は売れない。なので、権利書を紛失しても、盗まれても、土地を取られる心配は不要だ。
権利書がない状態で相続した場合は?
権利書を紛失した状態で、本人が亡くなった場合は、新しい権利書が交付される。
不動産の所有者が亡くなったときは、名義変更のための「相続登記」が必要だ。相続登記は不動産登記の中で権利書が不要な手続き。
権利書が不要な理由は、所有者本人が亡くなってしまうと印鑑証明書のチェックが不可能となるからだ。
印鑑証明の代わりに戸籍抄本で本人との関係が証明される。さっきは、権利書の再発行ができないとお伝えしたけど、相続の場合だけ権利書の再発行が許される。
権利書がない場合は、必要となる書類を確認しよう
いままで説明したきたように、権利書がなくても心配はいらない。
土地は売れるし、誰かに乗っ取られるリスクもない。
安心して、権利書に変わる方法で土地売却を進めよう。必要なタイミングで本人確認用の書類が求められる。事前に準備しておくといいね。
ひとつ、教えてください。
権利書がない状態で相続した場合は? のくだりに「相続の場合だけ権利書の再発行が許される」とあります。
権利書には購入した当時の購入代金が記載されてある。その当時の権利書が再発行できれば、当時の購入代金もわかるでしょうか?
以上、宜しくお願い申し上げます。
ご質問ありがとうございます。
ここでいう再発行は、新たに作るという意味で書きました。
過去の権利書を再現するというのではないので、当時の購入代金を知る方法とはなりえないと思います。
僕の方ではこのように認識しておりますが、もしこの認識に誤りがある場合は、ご遠慮なくご指摘ください。
記事を訂正しますので。