土地を売ったあと課せられる税金はいくらか?

あるいは、土地を売ったときのリアルな儲けはいくらか?

こうした土地の譲渡税や譲渡益を算出するのに「取得費用」が必要になる。

ところが、相続した土地は、代々引き継がれているうちに取得費用がわからなくなってしまうことがある。

そこで今回の記事では、取得費用に関して主に以下の3つを説明するよ。

  • 土地の取得費用とは?
  • 取得費用がわからない場合の解決方法
  • 取得費用と税金を計算する方法

土地を売ったあと、どれくらい税金を払うことになるかは、今のうちに計算しておいたほうがいいんだ。そのほうが心の準備だけでなく、税金用の現金を手元に残しておくことができるから。

ハーリーハーリー

いざ税金を払うときに、お金が足りないと焦るのは嫌だよね。
ぜひ最後まで読んで、今のうちに取得費と税金を計算しておこう。

よくある「取得費がわからない」ケース

ハーリーハーリー

取得費用がわからない場合の例として以下のの3つを挙げた。あなたはあてはまっているだろうか。

1. 売りたい土地は、相続によって代々引き継がれているもの。唯一把握していそうな父親は去年他界してしまったので、今はもう取得費用を知っている人がいない。

2. 何十年前かに購入した土地なので、購入した価格を証明できる資料などを紛失してしまった。

3. 購入した相手と連絡がつかなくなってしまった。

いかなる場合でも取得費用がわからないことに心配は不要だ。取得費用が不明なときの解決方法があるからだ。

順に説明していこう。

譲渡所得の計算方法

不動産用語では、土地やマンションなど不動産を売却することを譲渡という。

譲渡所得とは、譲渡して得た利益のこと。所得税の課税対象となるお金だ。

例えば、2000万円で購入した土地を3000万円で売却した場合、1000万円の利益が発生する。この利益を「譲渡益」と呼ぶ。そして、譲渡益に対して「所得税」と「住民税」というような税金が課される。

なぜ税金の計算が必要なのか?

譲渡所得が発生した場合は、法律によって「納税義務」が課されているからだ。納税に対しては、心構えだけでなく、しっかり現金を手元に用意しておかなければいけない。

土地を売却したあと、譲渡所得に税金が発生することを知らない人が実は珍しくない。売却の準備に入ってから税金の正体を初めて知る人は、あとで払う税金の大きさに驚くだろう。

中には、あとで税金を払うことを忘れて、次の住替えの資金や別の投資対象へお金を使ってしまう人もいる。たとえ売却した不動産が居住用のマイホームだったとしても、売却によって譲渡所得が発生すれば、確定申告と納税が必要になる。

こういう土地を売ったあとの税金のやりくりにしっかり対応するためには、いくら税金が必要になるのかを事前に計算しておいた方が安心だ。

譲渡所得の計算式

譲渡所得は次の方法によって計算することになります。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡価格は、土地やマンションなどの不動産を売った金額。例えば、3000万円で売買が成立した場合は、譲渡価格はそのまま「3000万円」ということになる。

取得費については後で詳しく説明するので一旦置いておこう。

譲渡費用は、不動産を譲渡(売却)するためにかかった費用のことをいう。主に、不動産会社に支払う仲介手数料や印紙代などが該当する。

譲渡価格や譲渡費用などは、実際に売却したタイミングで把握できる。しかし、取得費は発生するタイミングが一定ではないので、いざ必要なときに不明なケースが多い。

そこで次は取得費がわからないときの計算方法について説明していく。

取得費がわからないときの計算方法

取得費とは、不動産を取得した購入代金や、取得するために直接必要になった費用の総額をいう。

取得費がわからない場合でも、「概算取得費」という考え方で計算できる。取得費を「譲渡価格の5%」として代用することができるのだ。

例えば、3000万円で売却した土地の取得費が不明だったとしよう。譲渡費用が総額100万だった場合は、計算式は次のようになる。

取得費の算出

譲渡価格(3000万円)×5%=取得費(150万円)

譲渡所得の算出

取得費がわかれば、譲渡所得も算出できる。

譲渡価格(3000万円)-取得費(150万円)-譲渡費用(100万円)=譲渡所得(2750万円)

概算取得費で計算すると損することがある

取得費がわからないときの概算取得費を利用した場合、税金の負担がより大きくなってしまう不安がある。

例えば、取得費が「3000万円」と判明しているケースと、相続などにより取得費が不明で「概算取得費」を使って計算したケースとでは、概算取得費のほうが、取得費が小さくなり税金が大きくなる。

確かに、概算取得費で計算すると税金がより大きく課せられる。しかし、概要取得費は「活用してもいい」とされているだけで強制ではない。

もし、他に取得費用を合理的な計算する方法があれば、それが優先される。その計算方法のひとつに「市街地価格指数」というものがある。

市街地価格指数とは、市街地価格指数から「当時の価格を推定する」というものだ。特に、不動産の市場価格が高騰していた1963年以降に取得した不動産であれば、取得費が大きくなる傾向がある。概算取得費よりも節税効果を期待できる。

取得費として含められるもの

取得費といえば「購入代金」のイメージが強い。しかし、以下のような代金を取得費として含めることができる。覚えておこう。

  • 不動産の購入代金
  • 購入時の仲介手数料
  • 立ち退き費用
  • 購入時の仲介手数料
  • 登録免許税・不動産取得税
  • 建物の取り壊し費用
  • 固定資産税清算金

不動産の購入代金

土地を購入したときの代金は、当然、取得費に含められる。売買契約書が交付された場合は、契約書に記載されている金額が取得費だ。

購入時の仲介手数料

不動産の購入は、不動産会社の仲介を通して行うのが一般的だよね。不動産会社の仲介によって、売買が成立したときは、成功報酬として不動産会社に「仲介手数料」を支払うことになる。

立ち退き費用

どうしても欲しいと思う不動産に、所有者がいるケースは珍しくない。その際は、「お金を払うから、ここから出ていってください」というような形で立ち退きさせることもできる。その場合に払ったお金を「立ち退き費用」といって取得費扱いできる。

収入印紙代

不動産の売買契約書には収入印紙を貼らなければいけない。

この収入印紙代を取得費に含められる場合がある。購入した不動産が「居住用などの事業用以外」で使用する場合だ。事業用目的で使用するのであれば、収入印紙代を取得費用に含めることはできない。

登録免許税・不動産取得税

登録免許税とは、不動産の「名義変更」かかる税金。不動産取得税とは、不動産を取得した際に伴う税金。一定額を納税する必要があります。

計算式は以下だ。

標準課税(固定資産課税台帳登録価格)×税率(3%)

この金額も取得費に含めることができるが、印紙税と同じく、事業用として使用する場合は取得費に含められない。

建物の取り壊し費用

家付きの土地を買った場合は、新しい建物を建てるために、購入した土地の上に立つ建物を取り壊すことがある。その際に必要となった費用は、取得費の対象となる。

固定資産税清算金

通常、固定資産税はその年の1月1日において所有していた者が全額支払うことになっている。

ただし、その年の途中に売買が行われた場合は、買主が固定資産税の一部を負担することもある。これを「固定資産税清算金」といいう。

相続税が取得費に加算される特例

実際に税金の金額を計算してみると、想像以上に高額になることがわかり冷や汗が出る。

どうせ売却するのであれば、少しでも税額を抑えたいところ。儲けが大きくなるからだ。

利益をできるだけ手元に残したいときに活用できる方法がある。

相続税の取得費加算」という制度だ。

相続税の取得費加算の制度は、「相続税」を取得費に加算できる内容となっている。相続時に税金を払ったのであれば、譲渡所得の金額を少しだけ軽減することができるので、利用しよう。

ただ、適用時期については注意が必要だ。

相続税の取得費加算の制度は、いつでも適用できるわけではない。適用時期が決まっている。「相続開始日から3年10ヵ月以内」だ。

そのため、売却する土地が相続開始日から4年経過しているものであれば、相続税を取得費に加算することができなくなる。

土地の取得費用がわからないとき まとめ

今回の記事を読むと、「土地を売りたいけど税金の計算方法がわからない」という悩みが解決されたはずだ。

途中で触れた、市街地価格指数については、税理士事務所などで判定してもらうことができる。節税するために概要取得費以外の計算方法を利用する場合は、意見を聞いてみるといいだろう。