最近は今までと違って、リタイア世代よりも若者に理想の移住先としてマレーシアの魅力が伝わってるみたい。

ボンビーガールというテレビ番組で、プール付きのコンドミニアムに暮らす英語を全く喋れない若者が、おしゃれで高級そうなダイニングレストランで遠慮なく食事し、エステやマッサージへも気軽に通っている生活が特集されてた。

それを見たら、働いても働いても安月給で節約に苦しむ若者が、羨ましく思ってしまうのはしょうがないよね。

あそこまで食べたり飲んだり遊んだりを願わなくても、生活費のやりくりを忘れて、気候の良い南国で悠々自適に暮らしたいと、年金暮らしの年配者が思っても罪はない。

でも、僕の方は、かなり冷静にあの番組を見ていた。

なぜかというと、移住者全員がこの若者のように幸せな移住生活を送っていないことを知っていたからだ。

クアラルンプールに続き、僕の2回目のマレーシア長期滞在となった場所はペナン。1ヶ月のプチ移住を味わってた。

バスの中で子供の教育を目的に移住してきた主婦の方と出会った。

ひどく疲れた表情でマレーシア生活の不平不満を初対面の僕にこぼしてきた。

不満の先は、スーパーで売られている野菜にも向けられた。

確かに、日本ほどみずみずしい野菜をマレーシアのスーパーで見かけることはない。

でも日常的に通うスーパーは最初に慣れる場所だ。移住してから1年も経てば、野菜のしおらしさは普通にしか感じない。僕だって、移住後のたった2週間後にはそうなってた。

それなのに、この主婦の方は、ものすごい憎悪を込めて野菜の悪口を言うんだ。きっとマレーシア生活のほとんどに嫌気が指しているんだろう。

ボンビーガールで映されていた、ふくよかで幸せなそうなあの若者の顔。ヘイトでいっぱいの疲れきったこの主婦の方の表情。ここまで違うものになったのは、いったいなんのせいだったんだろう?

マレーシア移住が失敗する原因はどこにあったのか?

まずはそれをお話してから、楽しくなるはずの南国マレーシア生活を失敗させない、具体的な方法についても書いていく。

これからマレーシアへ移住を目指すあなたに、ぜひ知っておいてほしいことだよ。

マレーシア移住の失敗あるある

移住を前にしたら、誰だって少しは不安になる。

その不安な気持ちを煽って本当に悪いんだけど、ちゃんとあとでフォローするから、まずはマレーシアへ移住したらよくある失敗の例をあげていくね。

ビザの種類を間違える

この勘違いは笑えない。

マレーシアへの移住を目指す人の多くは、10年滞在が許されたMM2Hビザの取得を目指す。

でも注意だよ。MM2Hビザでは働けない。就労禁止なんだ。

言い換えれば、MM2Hビザは働かずに悠々自適な暮らしを送りたい人のためのビザ。だからリタイアメントビザなんて呼ばれたりもする。

働くつもりで移住する人は、MM2Hビザを夢見ちゃだめ。就労ビザを狙うんだよ。

MM2Hビザについて詳しく知りたい人は、前に書いたこの記事を読むといい。

MM2Hビザとは?10年間のマレーシア移住を叶える夢の切符を入手した

ビザが取れなかった

働く気なんてさらさらないよ、楽園マレーシアで仕事のストレスから解放されて暮らすんだ。だからMM2Hビザを取る。

なんて簡単に言っても、MM2Hビザを取るには条件がある。マレーシア政府から決められた貯金と月収の額をクリアしなくちゃならないんだ。けっこう難しい条件だよ。

そして、ビザ取得のための手続きも難解を極める。申請の方法を間違えたり、提出書類に不備があれば、審査に落ちてMM2Hビザは手に入らない。

移住したい誰もが、好きに行ける国ではないということ。

MM2Hビザの取得条件はこの記事を見てくれるとわかる。

資産証明書と収入証明とは?MM2Hビザの経済的条件を突破する

マレーシアに行くと生活費が2倍になった

ここからは実際に移住してからの失敗例だよ。

マレーシアの物価を舐めてた人に多い失敗だ。

マレーシアの物価は日本の3分の一くらいだと有名。それを信じ切って移住すると、思いがけない経済的な破綻に遭う。

だいたい日本からの移住者は、日本水準の生活を持ち込もうとするから悪いんだ。それが原因で、日本の二倍の生活費がかかってしまうことになるんだ。

マレーシアの物価が安いのは嘘じゃないよ。でもそれはマレーシア産のものだけ。日本製は日本で売られている値段の二倍するからね。

毎日の食事はやっぱり和食がいい。シャンプーや化粧水も日本製が一番。

日本出身の人で食の安全にこだわる人は多く、日用品もメイドインジャパンをつらぬきがち。全部が日本の値段の2倍するから、単純に生活費も二倍になる。

本当は3分の1になるはずだった生活費。2倍になったら、家計はめちゃくちゃになるよね。生活が回らなくなるのは当然。

仕事が見つからなかった、見つかってもブラックだった

何も準備をせずに、マレーシアへひょういと単身で乗り込めば仕事が見つかると思ってる?

僕の知人は、実はその方法で仕事を見つけた。でも、その人はかなりの奇人。常人に、観光ビザでの就職活動はおすすめできない。

マレーシアに観光目的で滞在できる期間は3ヶ月だ。就職活動の期間としては、ちょっと短い。

日に日に出国期限が迫ってくると、正常な判断が効かなくなる。とにかく仕事を見つけることが最優先になって、どんな働き口でも滑り込んでやるなんて意識になってくる。

マレーシアにもブラック企業はあるからね。日本の職を捨てて、はるばるマレーシアまでやってきて、やっと入った企業が超絶にブラックだったら、悲劇だ。

ある知り合いが、悲惨な仕事の愚痴を吐いてた。なかなかうまくいかないマレーシアの就職活動に焦ってたところ、平均より上の給与待遇を見つけ飛びついたら、運良く採用。喜んだのはつかの間で、入社直後は42歳。働き始めの頃はじゅうぶん給料の範囲で生活が回ることに満足してたけど、2年たってもほとんど昇給しない。

マレーシアの企業では、日本人向けの社会保障の制度が甘い。この知人の場合もそうで、だからそろそろ自力で老後のため貯金を増やしていきたいけど、上がらない給料では難しい。

そうかといって、貯蓄ゼロのままこのタイミングで日本へ帰っても、まともな再就職の先が見つかるとは思えない。何よりマレーシアのゆるさに慣れきったいま、日本で生活なんて、考えるだけで辛くなる。

なんて、マレーシアのお酒は高いから、好きなビールを我慢しながらシラフでこぼしてた。

治安が不安で近所も歩けない

マレーシアが安全だというのも、住む場所によっては嘘になる。

確かに殺人のような命に関わる犯罪の発生率は、他の東南アジアの各国と比較すると低い。けれど、スリやひったくりは、そのへんで被害者に合うくらい、しょっちゅう起こってる。

身に迫る危険は犯罪だけじゃない。交通事故やケガだってそうだ。

マレーシアは、超絶な車社会。歩行者にぜんぜん優しくない街の作りになってる。車は歩行者を意識せずにビュンビュンそばを突っ切っていく。舗装された歩道は穴ぼこだらけが標準だ。道を歩くときは踏み外さないように下を見ながら、車が来ないか前後左右も同時に注意しながら歩かなくちゃいけない。

これは僕の失敗談。クアラルンプールへ1ヶ月だけコンドミニアムを借りたときの話。

その辺の土地勘がなかったから、プールとかジムとか施設が充実してそうなところを決め手に借りた。住んでみると、交通手段の不便さに気づいた。

地図で見るとバスの走るメインロードからすぐだったけど、実際は入り組んだ道の奥にあった。夜は危ない気がしたから出歩かないようにした。必然的にタクシーでの移動が増える。お金がかかる。

奥さんは、昼間でも一人で外に出るのを避けてた。僕も心配だから、出したくなかった。行動範囲が制限されるのは、生活に不便なのと精神的にめちゃくちゃストレス。

治安については、もっと詳しく下の記事で書いてる。そっちも読んでマレーシアの安全性を判断してほしい。

マレーシアの治安を移住者が語る。女一人でも安全に旅行できるように

マレーシア移住を成功させるためのコツ

テレビでは、誰でもマレーシアへ行けば幸せになれるかのように放送する。でもここまで話してきたように、そんなわけはない。

マレーシアは誰かの楽園にはなれるかもしれないけど、誰にとっての天国になれるという場所ではないんだ。

マレーシア移住の失敗率を下げる基本的なコツを言おう。

リサーチだ。

前もってちゃんと調べておくこと。当たり前だけど、移住の前にできるだけマレーシアの知識を増やそう。それに、自分の身で試した体験も付け加えられればベストだ。

言っておくけど、移住の前に観光旅行でマレーシアを訪れることに、あまり意味はないよ。長くても1週間を超えない観光旅行と、少なくても2年3年を暮らす移住生活はまったく違うからだ。

旅行なら、どこへいくにもタクシーを使って、贅沢なグルメにも遠慮せずに舌鼓を打てばいい。でもそれを移住生活に求めちゃうと、すぐにお金が底をつく。さっき上でもいった話だ。

そもそも観光名所なんて、住んでしまうと日本から誰かが訪ねてくるときくらいしか行かない。一番行くのは徒歩圏のスーパーだ。

3泊4日くらいなら、珍しいローカルフードは何でもトライしたくなる。僕も最初の頃は毎日、場所を変えて麺だのカレーだのバクテーだのを食べ歩いた。1ヶ月もすれば飽きたよ。でも食べなくちゃいけないんだ、日本食は高いから。

行動範囲も食生活も何もかも旅行とは違う移住の生活。具体的に何をすれば、マレーシア移住に失敗しないのか、今度は成功のための方法を書いていく。

MM2Hビザは個人申請のつもりで代行へ依頼する

個人申請でMM2Hを取得した僕がいうのも矛盾してるけど、結果的には代行業者へ依頼しておけばよかったと思ってる。

MM2Hの条件は満たしているのに、書類に不備があったせいで審査に落ちてしまうのは泣ける。

代行費用がもったいないと思うのは、もちろん共感できるけど、預託金の定期預金に付く4%の金利を考えれば1年で取り戻せる。それで手続きにかかる時間を短縮し、ビザ取得の可能性も高められるんだから、代行費用は決して高くない。むしろ安い。

でも丸投げは止めよう。MM2Hビザの申請中、知らないだけで損をすることがたくさんある。

例えば預託金を預ける銀行をどこにするか。僕は自分でCIMBを選んだ。特典が他の銀行より魅力的だからだ。

でも代行業者の多くは、日本から口座を開けるHSBCをすすめてくる。丸投げしていたら、何も知らずに契約してしまっていただろう。

地面の下に眠る宝石箱は宝の地図を持ってる人にしか見つけられない。無知が原因で、せっかくのメリットを失っちゃだめだ。

書類集めや手続きなどの実務は代行へ遠慮せずに任せておこう。でも、MM2Hビザの仕組みについては、必要最低限の知識を身に付けておかなくちゃいけない。

少なくとも二つ以上の場所で移住の下見をしておく

なぜなら住む場所によって、治安も交通の便も全然ちがうからだ。

マレーシアは安全だとかいっても、サバ州東海岸へ行けばテロとか起きてるわけだし。これは極端な例だとしても、本当にタクシーで10分走れば、住みやすさがまるで変わる。

だから僕みたいに一度クアラルンプールの変なコンドミニアムに住んだからといって、クアラルンプールは合わない、なんて軽口叩いちゃだめだよ。

おすすめはクアラルンプールとペナンの二箇所を試すこと。都市型の生活とリゾートライフのどっちが好みかはひとそれぞれだけど、せっかく大きく引っ越すわけだから、ぜんぜん違うライフスタイルを味わってみるといい。

それで下見は、必ず生活することを意識して滞在しなくちゃいけない。暮らすように過ごすんだ。

下見ツアー自体は否定しないよ。現地暮らしの雰囲気を手取り足取り教えてくれるのは、移住初心者には助かるだろう。でも、ホテルに泊まらせられる下見ツアーは参加厳禁。単なるツアー旅行と同じだから。

下見のために止まる場所はAirbnbを使う。いわゆる民泊サービスだ。簡単に長期滞在できる家を貸し切りできる。

移住を予定する地域で物件を借りればいい。Airbnbの家賃はローカルで長期契約した場合よりも高い。たぶん1.5〜2倍くらいだろうね。

つまりはそこから現地の家賃相場を確かめられるわけだ。例えばairBnBで1ヶ月10万円で借りたなら、その部屋は現地価格だと5〜7万円くらいになる。

移住の下見の最中は、必ずスーパーへ買い出しに行って自炊をする。食材や生活用品の値段が掴めるし、移住の後はどんな食材でどんな食生活になるのかにも身構えられる。

マレーシアで売ってないもの、高いものが事前にわかれば、日本から持ち込むものの作戦を練られるだろう。

近くにある病院の様子も見ておこう。

体調が悪くなれば、逆にいい機会だと思って遠慮せずに診察へ行くことだ。海外保険に加入しておけば、治療費に自腹を切らずに済む。一番便利なのはクレジット付帯の海外保険だ。マレーシア渡航まで余裕があるなら、海外保険用にクレジットカードへ登録しておくのもいい案だ。

マレーシアの求人は日本でも探せる

マレーシアの仕事を日本向けに紹介する転職エージェントはネットを検索すれば見つかる。

本格的に応募まで考えてなくても、登録して実際の求人案件を見れば、どんな人材が求められているかわかる。

インド系、中華系、マレー系が共存するマレーシアは、マルチリンガルが普通なので、日本では評価の高い英語や中国語が話せることがあまり有利にならない。

そうかと言って英語必須とは限らず、現地在住の日本人を対象にしたコールセンターやサービス業など働き口はある。

新卒の場合は特に自分の売りとなる部分をまだ見つけられていない人が多いと思う。募集の多い職種やスキルを知り、採用を勝ち取るには何を身に付けていけばいいのかがわかる。

マレーシアの仕事については、下の記事も読んでほしい。ここより詳しく書いてるから。

マレーシアの仕事探し。移住する前の日本で求人の募集はあるの?

複数の収入源を確保しておけばベスト

結局、移住生活の苦労はお金で解決できる場合が多い。

ある地域の生活が合わなかったら、別の場所へ引っ越せばいいわけだし、貯金があれば、転職の勇気も出しやすい。

安全もお金で買える。セキュリティ機能の高いコンドミニアムは家賃も張るけど、家族の平和が守られる。

車社会に順応するベストな方法は、車を購入することだ。夜道を歩く必要はなくなり、タクシーにぼったくられる機会も減る。

日本食ばかりを食べられる。たまに食べるローカルフードは、初めて旅行に来たときと同じくらい新鮮に美味しく感じる。

掃除洗濯はぜんぶメイド任せ。そろそろ日本食の料理の仕方を覚えてもらう予定だ。

これほど贅を尽くすつもりはないとしても、少し懐に余裕があることで、外国暮らしのプレッシャーは驚くほど軽減できるんだ。

今はネットを利用すれば、月5,000円くらいは軽く稼げる。1ヶ月5,000円でも物価三分の一のマレーシアでは、15,000円の余裕が生まれることになるよね。

中には月5万円を稼ぐ人もザラに居る。日本円5万はマレーシアで15万円の価値に化ける。もし移住の前に、これだけの収入源を確保しておけば、かなり安心できるはず。

失敗しないマレーシア生活を送れるように

僕自身、普段東南アジアをあちこち巡っているけど、本格的にマレーシアへの移住を考えた最初の頃は、住む場所、治安、お金のことが相当に心配だった。

でも、事前にちゃんと情報収集することを頑張り、移住を前提に現地で暮らしてもみた。移住後の生活に少しでもゆとりが持てるように、ネット経由で日本円を稼ぐためのスキルも特訓したんだ。

こうした経験が今の生活を支えてる。今回の記事を読むことで、移住がうまくいくことを願ってるよ。