マレーシアでの銀行口座開設にかかった期間は、なんと1ヶ月だ。

個人申請だったから口座開設に必要な手続きは全部自分でなんとかしなくちゃいけない。代行業者の付き添いがあれば、こんなにもトラブルはなかったのかも。

本当にマレーシアの銀行は手強かったよ。良い意味でのんびりしているマレーシア人の気質だけど、ここまで振り回されると泣ける。

最初から日本水準のサービスは求めてないよ。でもあまりに遅くて無責任すぎる対応にはさすがに怒ってしまった。事の顛末はあとでお話しする。大変さが伝わると思うよ。

なぜマレーシアで銀行口座が必要になるのか?

答えは、預託金を定期預金しなくちゃいけないからだ。

これはMM2Hビザの経済的条件。もう一度確認しておく。

50歳未満 50万リンギット以上の資産
1万リンギット以上の月収
仮承認後マレーシアの国内で30万リンギット以上の定期預金
2年目以降は用途限定で15万リンギットを引き下ろせる
50歳以上 35万リンギット以上の資産
1万リンギット以上の月収
仮承認後マレーシアの国内で15万リンギット以上の定期預金
2年目以降は用途限定で5万リンギットを引き下ろせる

経済的条件についてもっと詳しく知りたいなら、下の記事がおすすめだよ。

資産証明書と収入証明とは?MM2Hビザの経済的条件を突破する

MM2Hビザの最初の仮申請に合格するためには、3ヶ月分の残高証明書と給与明細をマレーシアの移民局へ提出する。経済的条件のクリアを証明するためだ。

提出後、仮申請の審査を通過すれば仮承認レターが手に入り、それを持ってマレーシアで銀行口座を開くことが求められる。

預けなくちゃいけないお金の金額は年齢によって違う。上の表を見てね。このお金が預託金と呼ばれるもの。

預託金は2年目の住宅購入・車の購入・こどもの教育以外の用途では引き出せない。つまりは動かせない定期預金で預けなくちゃいけないわけだ。

大きなお金を預けたまま自由に動かせないのは不安だよね。

でも、マレーシアの金利は3〜4パーセント。利子には税金がかからない。これはずいぶんお得な話だ。じっさいこの金利を目当てにMM2Hビザを取得する人もいるので、お金を動かさない/動かせないことにもメリットはある。

マレーシアで銀行口座を開設するときの流れ

まずは一般的な銀行口座の開設方法を説明しておく。

どの銀行を選ぶかや担当の銀行員の仕事ぶりによって順番は変わる。早く順調に事が進めば1週間もかからず全ての手続きが終わる場合もあれば、僕のように1ヶ月を無駄に費やすという悲劇のパターンもあるから注意しよう。

1. 定期預金する銀行を決める

Maybank、CIMB、HBSCあたりがMM2Hビザホルダーに人気のある銀行だ。

MaybankとCIMBはマレーシアで第一・第二の銀行だから、どこでもATMが見つかるし実用的。

HBSCは口座の開設が日本でもできるところが、MM2Hビザを申請しようとしている人にはすごくメリットだね。

2. 普通預金口座を先に開設する

預託金は定期預金が条件だけど、銀行ではいきなり定期口座を開かせてくれない。先に普通口座の開設を迫られるんだ。

銀行へ行けば案内係りが入り口近くにいる。MM2Hビザ用の口座が欲しいと告げよう。番号札がもらえる。番号が呼ばれたら銀行員のいる窓口へ向かう。

待ってる間に、口座開設用の申請書を書かされているかもしれない。英語なので難しいと感じる人もいるだろうけど、銀行員は動きは遅くてもだいたい親切なので、遠慮せず書き方を聞けば感じよく教えてくれるし、窓口で質問しながら書いてもいい。

申請書を提出した後は、口座開設のための審査がある。審査の期間はケースバイケース。朝一で申請したその日の午後にできるという場合もあるらしい。僕は2日かかった。

3. 日本から海外送金

普通口座が準備できれば、預託金を入れる。

大きな預託金を現金でマレーシアへ持ち込むのは防犯のことを考えると無謀すぎる。それに預託金の額ほどの大金を持ち込むことは税関で禁止されているので、止めておいたほうがいいだろう。

普通に日本から海外送金サービスを利用するのがベスト。

面倒だけど個人申請の場合は、一度マレーシアから日本へ帰らなくちゃいけない。

信頼できる家族や友人にあらかじめお金を預けておいて、マレーシアの方で準備ができれば送金してもらうという方法もある。業者の代理申請の場合は、代行業者の口座を一時的なお金の置き場として利用することもある。両方とも、大きなお金を他人に預けるので、不安感は拭えない。

4. 着金

海外送金の手続き後、1週間もあれば指定口座へ届くのが普通だろう。

マレーシアの銀行では、普通預金を開くとネットバンキング用のアカウントも発行してくれる。スマホ用のアプリでも残高を確認できるから便利だ。海外送金の着金も手元で確認できる。

5. 定期預金口座を開設し、普通預金からお金を動かす

銀行でも着金を確認できれば、定期預金アカウントを開いてくれる。普通預金口座から定期預金口座へお金を動かせば、預託金関連の手続きは完了だ。

最後に、銀行が預託金が定期預金されたことを示す証明書を発行してくれる。移民局でのMM2Hビザの本申請に必要だからなくしちゃだめだよ。

HSBCなら日本国内で銀行口座を開設できる

途中でも言ったけど、海外送金のため日本へ一時帰国するのはだるいよね。

そうかといって誰かに大金を預けておくのも不安。そういう場合は、日本にいてもマレーシア現地に銀行口座を開設できるHSBCを検討してみるといい。

手続きは簡単。口座開設書類を提出して、銀行口座の番号が決まれば、そこへ送金するだけだ。

MM2Hビザの代行業者はよくHSBCを推薦してる。日本で口座が開けることが理由だと思うけど、銀行によって利子やサービスの質が違うから、本当はいくつかの銀行をちゃんと調べて選んだほうがいい。

それでもCIMBの定期預金を選んだ理由

僕が選んだのはCIMBだ。理由は、Preffered会員という優待制度に入れるから。

一定額を超える貯金をしていると優待制度を受けられる。MM2Hの預託金は大きいので、預けた時点でPreffered会員の権利が与えられるんだ。利用しなくちゃ損だけど、銀行選びを業者任せにしている人は知らないだろう。

具体的な特典をあげてみる。

金利4%とVISAのブラックカードだ。

金利4%のお得さは説明しなくてもいいだろう。預託金 x 0.04の利氏が付く。預けっぱなしにしていると4%で、雪だるま式に増えていく。複利の効果だ。

VISAのブラックカードは、VISA INFINITY というVISA社が出す中で最上位のクレジットカードで、これまたお得な特典が多い。

カードに付帯する海外旅行保険と空港ラウンジの無料利用は、移住してマレーシアが拠点になれば必然的に東南アジア周辺国への旅行が増えるのでかなり実用的なメリットだ。

Preffered会員になると、銀行での対応が別室案内になる。一般会員と一緒に窓口を待たずに済むのはいい。

CIMBで預託金のための定期預金をやっと開設できるまでの奮闘記

僕の場合は本当に時間がかかった。冒頭でも愚痴ったけど、このために奔走した期間はほぼほぼ1ヶ月だよ。

同じような悲劇に遭う人を減らすために、この顛末を共有しておくね。

1/ 初めての口座開設手続き

CIMBを預託金の預け入れ先にすることは日本で決めていた。支店は、マレーシアに来てから、アクセスしやすいKLCCブランチに決めた。

KLCCは巨大なショッピングモールで傍にツインタワーがそびえ立つ。銀行へ用事を済ませたあと、ショッピングやお茶を楽しむのにもちょうどいい場所だ。

銀行へ行く前はすこし緊張した。英語での手続きになるからね。うまく口座を開けなかったという失敗談も聞いていたし、CIMBは大本命だったので逃しなくなかった。

銀行へ到着。係員にMM2Hビザ用の銀行口座が欲しいことを告げると、15分くらい待たされたのち窓口に呼ばれた。

担当の銀行員が新人ぽくて、あまりMM2Hのことを知らない様子だったのが気になったけど、印象は悪くなく、普通に親切だったね。

書き終わった口座開設書を提出すると、審査の結果が出るまで2~3日、長くて3週間ほど待ってほしいといわれた。

そのときは別に不信感もないから、承知して普通に帰ってきた。

審査の間に健康診断や医療保険への加入とかを済ませておこう。MM2Hビザの本申請のために必要だから。

2/ 3週間はムダに終わった

結論から言えば、3週間中、審査は全く行われていなかったんだ。

のんきにマラッカへ旅行へ行ったりしてたのがバカみたい。

マラッカから帰ってきてちょうど、最初の口座開設の手続きから3週間が経った。

音沙汰がないことに流石に不安になって、まずはCIMBのサポートカウンターへ電話したんだ。審査状況を調べてもらった。

僕の情報は何も出てこなかった。

3/ 銀行へ審査状況の確認のため向かった

銀行へ着くと、最初の担当者はいなかった。別の銀行員に対応してもらった。審査状況を調べてもらうと、やっぱり何もデータが出てこない。

前の担当者もいない、詳しく調べられるマネージャーも不在ということで、翌日午後にもう一度きてくれないかという。これ以上話をしてもムダだなあと思ったので、素直に撤退した。

4/ 再再再訪問

最初に断っておくと、この時点でまだ申し込みさえできてないからね。どういうことか説明する。

最初の担当者はまた不在。聞けばホリデー中だとかで、マネージャーを探してもいない。

さすがにゴネたよ。どうなってるんだと。

口座開設書はどこに行った? パスポートとMM2Hの仮承認レターのコピーも、どこへやっちまったんだ?

答えは一つ。全部まるごとなくしちゃったってことだ。

そして再び口座開設書を書くことになる。2日後に口座の準備ができているという約束をした。担当員は、準備できたら電話をかけると言ってたなあ。

かかってこなかった。

5/ 祝 普通口座オープン

電話はかかってこなかった。そもそも期待してなかったから、電話を待たずに銀行へ直接行ったよ。

約束通り、普通口座の準備は無事にできていた。嬉しい。

キャッシュカードがすぐ発行されて、暗証番号を決めたらATMが使えるようになった。ネットバンクの設定もすぐに済ませた。アプリで残高を見たり、プリペイド携帯にトップアップできたりする。

6/ 母に海外送金を依頼

日本へ電話をして、母へみずほ銀行へ行ってもらう。海外送金のためだ。

日本からマレーシアへ渡航の前に、預託金ぶんのお金を母の口座へ移動させておいた。それを今はCIMBの普通口座宛に送ってもらわなくちゃいけない。

注意したいのは、事前に送金予定の銀行で資金の流れを説明しておくこと。最近はマネーロンダリングを防ぐため、海外送金の手続きがめちゃくちゃ厳しくなってる。少しでも怪しい送金は許してくれない。

僕の会社はベトナムとの取引を持つ。法人口座で海外送金をよく利用してたのも良かった。海外送金の担当者とは顔見知りで、近々、ビザ取得のために母の口座から僕のマレーシア口座へ大きなお金を動かすことを相談していたんだ。

おかげで海外送金の当日、母は何も難しい質問をされるずにすんなり手続きを終えられた。

7/ 着金

海外送金の着金するまでの期間が短いことに驚いた。一日しかかかってない。

母と電話で話した翌日の昼に、まさかと思い銀行のスマホアプリを開くとお金が届いてた。銀行へすぐに急いだ。

8/ 祝 定期預金オープン

銀行でも着金が認められ、晴れて定期口座が開かれた。

忘れちゃいけないのは、預託金を入れた証明書を発行してもらうことだ。口座開設とは別の窓口で無事に手に入れる。

めちゃくちゃ待ったけどね。銀行の中は寒い。薄着で1時間待っていたら、風邪を引いた。熱はすぐ治まったけど、咳が1ヶ月続いた。あまりに治らないから、普段は薬に頼らないけど、このときばかりは医者へ行って、強力に効くやつを処方してもらった。

9/ Preferred会員への参加申請

残念なことに、まだ手続きは終わらない。Preferred会員への参加申請だ。CIMBを選んだ大きな理由が、このPreferred会員だったからね。避けては通れないわけだよ。

預託金の証明書をもらい、Preferred会員専用の別室へ案内される。一通り会員の内容について説明を受けるとこう言われた。

専任の担当者が決まったら電話する。

11. 祝 Preferred会員参加

担当者が決まるまで3営業日くらいかかる、決まったら電話すると言われたが、当然電話はかかってこなかった。

かかってこないのは知ってた。だから自分から行った。

前回話しをした銀行員に、電話をかけてこなかったよねと言うと、専任担当者がまだ決まってないからと説明された。

その週末にマレーシアを出国することが本当に決まってたので、絶対にもう待てないと告げる。今日中になんとかしてくれと。

じゃあすぐに担当者が決まったよ。細身でメガネをかけたまだ30代前半くらいに見えるジェントルマンが現れた。

今後の貯蓄や投資についてご相談があればなんなりと。

名刺を渡され、最後はガッチリ握手を交わす。これでついに銀行手続きのすべてが終了。やりきった感がすごかったよ。